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Japan
2008~ 次世代を醸す ~日本酒 自然と人間とが織り成す芸術品~
「平行複醗酵」-それは世界に例を見ない卓越した醸造技術である。
三百数十年の長きにわたって、この技術が日本酒業界の伝統を支え続けてきた。国際化が進み、産業の発展に伴う農業の衰退、農業形態の変化、農家の減少・高齢化によって後継者不足となった今、この伝統が危機に瀕している。
一世代前には当たり前に受け継がれてきた伝統技術を引き継ごうとする新世代がいない。すべての工程が機械化され、オートメーション化されてきた日本酒業界の危機は日本酒文化の痛手だけでなく、日本の食文化の危機にもつながっているといえる。
神奈川県相模原市にある久保田酒造は、創業1844年の歴史ある酒蔵である。300石という小さなこの蔵で平均年齢30歳の若い世代が手間を惜しまず、昔ながらの手作業で芸術品を醸し出している。
過去にとらわれず、今に惑わされること無く、彼らの眼はまっすぐに次の扉へと向かっている。もうその手が扉を開くことに何のためらいも感じられない。
何かがおかしい今の時代の中で、彼ら蔵人たちの熱くて純粋な思いは、まさにそれが無形財産であり、彼らと出会えたことが自分とって、すばらしい財産だった。
ありがとう。